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24日目:サンシャイン国際水族館飼育担当の方のお話2

今日は元気がありません。下の方で頭を下にしてぱたぱたと移動しています。冷蔵庫を覗く度にこの状態。「たまには休む日もあるか」と、さっき冷蔵庫を覗いてみたところ容器の真ん中あたりで泳いでいる。でも頭がやたら大きい。「あっ!くーちゃん、うん○が頭についてる!!!」と叫んでしまいました。排泄物を頭に付けたまま泳いでいたのです。今朝全部スポイトで取り除いたはずなのに、甘かった・・・

で、自然に排泄物は取れ、一安心。昨日の水族館の方のお話で、今まで私が「元気」「元気がない」と思っていたのも多少間違っていたと気付きました。

テーマ毎に昨日伺ったお話をまとめます。

[クリオネの飼育環境]

昨日も書いたように、水族館のクリオネの水槽はゆるい水流があり、クリオネが流されない程度にふわふわと羽ばたいて泳いでいました。クリオネは元々遊泳力の弱い生物。自然の海、流氷の下は水流が比較的少ないためクリオネも流され過ぎずに適度な水流に漂う事が出来るそうです。逆に水流が強い場所に流されてしまうと恐らく体力を消耗して長生きできないだろうと。

水族館では以前今の私の飼育と同じ様に止水状態で飼育していたそうです。それが今のゆるい水流の水槽にしてからは驚くほど長生きするようになった。と。

それは、ゆるい水流の中で漂いながら羽ばたくのと、止水状態の中で自分で上昇するように羽ばたくのとでは体力の消費量が違うから。という事ではないかと。

そう思うと、今まで容器の上の方まで泳いでいた時は元気だと思い、下の方で控えめに泳いでいた時は元気がないと思っていたのは、多少違うのかもしれません。下の方で位置を変えずに控えめに泳いでいる方が、自然の泳ぎ方に近いのかもしれません。元気そうに泳ぎ回っている方が体力を消耗して、もしかしたら寿命を縮める事になってしまうのかも。

以前オホーツク流氷科学研究所にうかがったお話でも、クリオネの生息水温は上限16~17度、下限は無し。海水の7、8割が凍っても大丈夫。16~17度の場合は、数日に一度餌をとることが必要、とありました。体力が消耗する環境では、その分栄養を補給しないと、という事ですね。

クリオネが長生きするためには、体力の消耗を防ぐ、という事が必須のようです。

[捕食について]

まず、やはりクリオネは半年から一年、えさを食べなくても生きているとの事。これは恐らく、自然界の中でも餌にありつけることがそのくらいの頻度なのではないか、との事でした。と言うのは、クリオネは自分から餌に向かって泳ぐわけでもなく、餌を探すわけでもない。漂うだけのクリオネと、餌のミジンウキマイマイがタイミングよく接触し、捕獲できたら食べる。というスタンスで、しかもミジンウキマイマイの群れとそう簡単に出会う事も多くはないであろう、との事でした。

水族館の方も、実際にクリオネとミジンウキマイマイはご自身で採取されるそうなのですが、クリオネがたくさんいる所でもミジンウキマイマイは滅多に見つからないそうです。人間から見ると見つけにくい、という理由もあるそうですが。

実際に飼育担当の方がご自身で羅臼に採取に行かれ、フジテレビが撮影し、ニュースで放送された8年前のクリオネ捕食シーンのビデオを拝見しました。私も友人Yちゃんが買ってきてくれたオホーツクタワーのCD-ROMで捕食シーンは見たのですが、こちらのビデオ映像も鮮明で「捕食の瞬間」も写っていました。これには私も驚きました。

ミジンウキマイマイがクリオネの頭とほんの少し接触するかしないかという瞬間、クリオネの頭部が開き6本の触手(バッカルコーン)が、クリオネの体長の半分以上はあると思われるくらい伸びるのです。しかも一瞬のうちに。まさに宇宙人のようです。一回目は捕食失敗。バッカルコーンが出たものの、ミジンウキマイマイを捕まえられずにそのまま右往左往している感じでした。これを見て「追いかけるわけじゃないのか」と理解できました。

ちなみにクリオネは嗅覚で餌を感知すると言われていますが、それも定かではないそうです。というのは、実験でミジンウキマイマイのエキスをクリオネに近づけても、反応が無かったそうなのです。私が見た映像では接触して、運良く捕まえられたら食べる。という感じなのかなあ、と見えました。

そして捕食の際、6本のバッカルコーンで殻を押さえ、その内側に2本か3本ある「フック」というカギ状のもので、ミジンウキマイマイの中身をえぐりだして食べるそうです。ミジンウキマイマイの翼足は食べないそうです。ミジンウキマイマイはグレーっぽい、茶色っぽい色をしているそうなのですがView image、クリオネが食べた後は、殻の中身が綺麗に無くなり透明の殻になっていました。

実際にその撮影では、食べ終わるまでに4時間くらいかかったそうです!まさに壮絶でした。

やはりあの可愛い姿からは想像も出来ない捕食シーンです。

ちなみにクリオネの顔(に見える部分)のオレンジ色は、内臓ではなくてこの「バッカルコーン」でした。体のオレンジ色は内臓です。

他にも頭が割れてバッカルコーンを少し出しながら泳いでいる映像もありましたが、「ちょっと怖い・・・」の一言でした。でも、とても、ますます興味深い生物です。

餌はやはり「ミジンウキマイマイ」しか食べないだろうとの事。ただ、水族館にもいろいろなお話が耳に入るそうで、他のものを食べたと言う話も聞かれた事はあるそうです。「絶対にミジンウキマイマイしか食べない」とは言い切れません。とはおっしゃっていました。クリオネとも生き物、個性もあると思います。「普通のクリオネはミジンウキマイマイしか食べないけど、僕はイサザアミも食べるんだ!偉いでしょ!」と、うちのくーちゃんが言ってくれたら嬉しいなあ・・・


明日は続きで、他のテーマを。

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